電気制御に関する設計業務、製作業務、ご協力いたします!

制御盤製作時の部品選定(電磁開閉器、接触器、ソリッドステートリレー)

スポンサーリンク


今回は、制御盤で使用する電磁開閉器、電磁接触器、ソリッドステートリレー(ソリッドステートコンダクタ)の選定基準について紹介します。

 

制御盤製作時には必ずと言っていいほど、対象機器をON/OFFする部品を選定することになります。主要対象機器をON/OFFさせる目的で選定するのが電磁開閉器、接触器、ソリッドステートリレーになります。

初めて部品選定をする方は、このページで電磁開閉器、電磁接触器、ソリッドステートリレーの特徴と選定基準を理解しておきましょう。自力で部品選定してみると、どこが理解できていないのかが分かるので反復して覚えていきましょう。機器の仕組みを理解していれば、出先で客先から質問を受けてもスマートに受け答えできますので、客先のあなたへの信頼度アップが期待できますよ。

※制御盤製作については「制御盤製作案件時の業務手順」「仕様確認の手順(制御盤案件時)」をご覧ください。

スポンサーリンク

1.電磁開閉器、接触器ってなに?

 

電磁開閉器、接触器とは、操作コイルに電圧を与えることで接点をON/OFF出来る大きいリレーのようなものと考えてください。主に電動機(モーター等)を動かす用途で使用します。

操作コイルに電圧を与えると、電磁石の原理で接点を引き寄せて接触させ、接触した部分に主回路の電気が流れます。引き外しはバネの力を利用して引き外します。

電磁開閉器はサーマルリレー付き、電磁接触器はサーマルリレー無しのものを指すときに名称を分けて使います。有接点であるため、接点摩耗があるために頻繁にON/OFFさせるような動作には向きません。

サーマルリレーの選定については『IE3プレミアム効率モーター用のサーマルリレーは遅動形を選定しよう』を併せてご覧ください。
最近のモーター事情やサーマルリレーの種類についても書いています。

主回路:AC400V、AC200V、AC100V、直流用
操作コイル:AC200V、AC100V、DC24Vなど

 

目次へ戻る

 

2.ソリッドステートリレー(SSR)ってなに?

 

ソリッドステートリレーは英語で Solid State Relay と書くことから、それぞれの頭文字をとってSSRと呼びます。ソリッドステートリレー(以下、SSR)は電磁接触器とは違い、ダイオードやトランジスタなどの半導体スイッチング素子で構成された無接点リレーです。

ただし、動作的には電磁接触器と変わりありませんが、半導体素子を使用していることもあり、動作速度が速く、無接点であることから接点摩耗がないことが特徴ですが、値段としては電磁接触器よりも高くなります。

しかし、半導体素子を利用していることで、流せる電流値が小さいです。大容量なものとして、ソリッドステートコンタクタ(以下、SSC)というものがあります。

主回路:AC400V、AC200V、AC100V、直流用
操作コイル:AC200V、AC100V、DC24Vなど

 

目次へ戻る

スポンサーリンク

3.電磁開閉器、接触器、SSRの選定基準

 

  1. 接点開閉頻度
  2. 操作コイル電圧
  3. 主回路電圧
  4. 主回路接点容量
  5. 補助接点
  6. サイズの確認
  7. 私の場合の選定基準

 

3-1.接点開閉頻度

 

それぞれの構造の特徴として以下が挙げられます。

電磁接触器:有接点(機械式接点)
SSR:無接点(半導体スイッチング素子)

構造上の違いから、接点の開閉頻度に応じて電磁接触器にするか、SSRにするかを決める必要があります。最近の電磁接触器は1時間に1200回程度の開閉頻度(ON・OFFで1回)であれば問題なく動作できるようにできています。開閉頻度が多く、コスト的に余裕があればSSR(SSC)の選定で良いと思いますが、開閉頻度がさほど多くないようであれば電磁接触器で問題ないです。

私の場合、1分に3回以上の開閉頻度が継続的に行われるようであればSSR(SSC)を選定するようにしています。ヒーター制御において頻繁に開閉する場合(温度変化が激しく、細かくON/OFFしなければならない場合)は、SSR(SSC)を選定しています。

 

3項目次へ戻る

 

3-2.操作コイル電圧
3-3.主回路電圧

 

操作コイル電圧はAC200V以下またはDC24Vにしましょう。制御回路でAC200Vを超える電圧を使用することはほぼないですが、制御回路はAC100V、DC24Vの両方を使用することを推奨します。

電磁接触器のような制御機器はAC100Vの方が標準品でラインナップされているので選定しやすいです。操作コイルも標準品にない電圧を選ぶと、受注品や特殊品扱いとなってしまい、高く納期もかかってしまいます。

なるべく標準品から選定するようにしましょう。

 

3項目次へ戻る

 

3-4.主回路接点容量

電磁接触器についてはかなり大きい容量までラインナップがあります。SSCはある程度の容量までラインナップはありますが、電磁接触器ほどの大容量まではラインナップがありません。また、SSRは容量の小さいものしかラインナップがありません。

対象機器の定格負荷を確認し、詳細カタログ等に記載されている選定基準に沿って選定しましょう。

 

3項目次へ戻る

 

3-5.補助接点

 

電磁接触器には数点の補助接点がありますが、たくさんの補助接点を使用したい場合があると思います。補助接点はオプションとして別売りにて販売されていますので、多数の補助接点が必要な場合にはオプションの補助接点の購入を忘れないようにしましょう。

また、リレー等を使用して接点数を増やすことも可能です。こちらの場合もリレーとリレー用ソケット等の購入を忘れないように気を付けましょう。

 

3項目次へ戻る

 

3-6.サイズの確認

定格電圧、電流の確認をして選定したものが設置出来るのか、サイズを確認しましょう。サイズを確認せずに容量値だけ合わせて購入していざ取り付けようとしたら、大きすぎて取りつかないというケースを多く見てきました。私も同じような失敗を若いときにしています。カタログ等で必ずサイズは確認しましょう。

 

3項目次へ戻る

 

3-7.私の場合の選定基準

 

ポイントを絞って説明しましたが、私の場合の選定基準をまとめると以下のようになります。

接点開閉頻度:1時間の平均として、1分間あたり3回以上の開閉頻度があるか
ある → SSRまたはSSC
ない → 電磁接触器、開閉器

操作コイル電圧:出来る限りAC100Vで設計してAC100Vを選定、またはDC24V
主回路電圧及び容量:対象機器により、メーカー詳細カタログ選定基準で選定
補助接点:なるべく補助接点を購入しない方向で設計(PLC等で処理させる)
サイズ確認:上記選定後、大きさを確認する

 

3項目次へ戻る

 

目次へ戻る

 

4.さいごに

 

必ず必要になるポイントを項目として挙げましたが、それぞれの業態に合わせた選定基準を明確化して取り組むことで、組織内での選定は間違いの少ないものになっていきます。どんな部品の選定でも基準を用意し、一定基準で選定することが望ましいです。

電磁接触器、開閉器、SSR(SSC)の一つの選定基準として参考にしてみてください。

 

関連記事:制御盤製作時の部品選定(ブレーカ、サーキットプロテクタ)