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今回は板金図面を作成する場合の寸法線の引き方の注意点ついて紹介します。
制御盤制作の案件では、機器を取り付けるためにブラケット等の製作を必要とすることがあります。
ブラケット等の板金を製作するためには、板金図面を作成する必要が出てきます。
あなたの作った板金図面は正しく寸法線を引けていますか?
図面に不備がある場合は製作できなかったり、製作したものが高額であったりすることも。
このページで板金図面での寸法線を引く際の注意点をおさえておけば大丈夫。
しっかりと注意点を守って書けば「製作できない」と言われたり、高額な請求になることはありません。
目次(概要)
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1.寸法線はなぜ必要なのか
寸法線は何のために書くの?
寸法線は物の大きさを示したり、穴の位置を示すために必要な情報です。書かなければ物や穴位置の正確な大きさ、位置を示すことができません。
板金を正確に製作してもらうためには必要な情報となります。
誰のために必要?
寸法線は『板金を製作する人』のために必要な情報です。「誰のためか?」と言われれば『板金製作者』のために必要となります。
製作してもらった板金は手元に届き、制御盤などに設置して使用します。制御盤は最終的に得意先に納めることになります。
結果として『自分(自社)のため』でもあり、最終的には納品先である『得意先のため』に必要な情報ということになります。
2.寸法線の基点を意識しよう
寸法線の基点とは?
寸法線を書くときに『基点』を意識する必要があります。
寸法線の基点は『左上』『右下』など、分かりやすく『点』を決めます。『点』の場所を決めるときは、決めた場所からの寸法を守って製作すれば正しく板金が製作できるところにします。
上下左右で基点の位置が違うと製作物が設置出来なかったり、他のものにぶつかったり、穴の位置にズレが生じてしまう可能性があります。
基点は全ての方向に対しての『基準となる点』となります。
基点がずれているとき
基点は『基準となる点』ですが、上下と左右で基点が違う場合はどのような寸法線になるでしょうか?
実際に基点が違う寸法線を書いた図を見てみましょう。
上下方向は『左下』、左右方向は『左上』をそれぞれ基点として寸法線を引いています。『左下』を基点とするならば、左右方向の寸法線は対象物の下側に書いた方が分かりやすいです。
このままでも板金は製作可能ですが…個人的には「とても気持ち悪い図」という印象です。
正しい基点と寸法線
先ほどは上下と左右で違う基点となっている図を見ました。
今度は『左上』を基点にして寸法線を引いた図を見てみましょう。
寸法線の基点を『左上』とした図では、前述した違う基点から寸法線を引いた図と比べてみると穴位置の寸法線の示し方が変わっています。
赤い丸で囲んだ穴の位置は『下から50』→『上から70』に変わっています。穴の加工は『間違いなく正確』な位置に開けることは不可能なので、どこかで誤差を吸収する必要があります。
上からの寸法が大事なのか、下からの寸法がズレると設置できないのか、ここを判断基準として『基点』を決めていく必要があります。これは左右も同様です。
また、上下左右で基点を変えて寸法線を書いてしまうと、思いもよらぬ誤解を生む可能性があります。結果として違うものが出来上がってくることもあり、製作のやり直しになったりすることも。
製作業者が間違って製作したことは問題ですが、分かりにくい図面を書いた設計者の責任もあると私は考えます。
基点は上下左右で同じ点となるように決めて寸法線を書きましょう。
・寸法線の基点は『全ての方向の基準となる点』のこと
・基点は上下左右で同じ点となるように決める
・同じ点から寸法線を引くことで誤解や誤認識を防ぐ
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3.寸法線は交差せずに書く意識を
寸法線が交差していると見にくい
寸法線は交差してしまうことがあります。
どうしても回避できない交差については仕方ありませんね。
しかし、寸法線が交差していると見にくい図面となることは確か。なるべくなら寸法線は交差することなく書いてあることが望ましいです。
線の交差がない図面は製作者にとって見やすくなります。
寸法線が交差していることによって、板金製作者に誤認識をさせてしまう可能性が生じます。こうした不要なトラブルを防ぐことにもつながりますから、なるべく寸法線を交差させないように配慮しましょう。
実際に寸法線を交差させてみる
実際に寸法線が交差している図を見てみましょう。
穴の寸法線を左右の寸法線に交差するように書いてみました。
とても見にくいですよね?
2項で示した正しい基点と寸法線の図のように右下に書いてあったほうが見やすくなります。
この図であれば右側、下側のスペースに書くことで交差することを防げます。
板金製作での不要なトラブルを防ぐため、正しい寸法での板金を製作してもらうためにも寸法線は交差しないように意識しながら図面を書きましょうね。
4.さいごに
寸法線の基点と線の交差について書きました。
板金製作者には考えることなく、製作に集中できる図面を提供するように配慮しましょう。
品質の良い板金を製作してもらう努力は設計側でも出来ることです。
板金製作者に「あなたの図面だと製作しやすいね!」と言わせるような図面の作成を心がけていきましょうね。