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今回は、制御盤のシーケンス制御でよく使用されるPLCの種類や選定手順について紹介します。
制御盤では、単純な制御で制御対象も少なければリレーで制御することも出来ますが、制御対象が多い場合や複雑な制御をするにはPLCは不可欠です。このページでPLCとはなにか、どんな種類があるのかを理解して手順通りに選定できるようになれば、今後はPLCの選定に迷うことはなくなりますね。
PLCといっても各メーカーから様々な種類が発売されていますので、まずは1メーカーのPLCの選定ができるように覚えていきましょう。
※制御盤製作については「制御盤製作案件時の業務手順」「仕様確認の手順(制御盤案件時)」をご覧ください。
※ラダープログラムについては「カテゴリー:ラダープログラムの作成手順」をご覧ください。
目次(概要)
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1.PLCってなに?
PLCとは Programmable Logic Controller (プログラマブル・ロジック・コントローラ)の頭文字をとった名称です。シーケンサという方もいますが三菱電機の商品名ですので、一般的にはPLCと呼びます。
元々は大量のリレー回路をコンパクトに、プログラム化することを目的として作られました。小型コンピュータではありますがPCと違う点として、PCはノイマン型といわれる動作モデルが原型ですが、PLCはリレー回路を原型とするステートマシンを動作モデルとしています。
多くの入出力信号によってプログラムされた通りに制御する目的で使用します。
2.PLCはどのような種類があるの?
PLCは様々なメーカーから販売されており、多様な種類の機能があります。私は三菱電機製PLC(以下、シーケンサ)をよく使いますが、シーケンサはユニットと呼ばれる各機能をもったものを組み合わせて使用します。
どのような機能のユニットがあるか知っているかいないかで設計も変わってきます。機能ユニットはどんなものがあるのか、また必要な構成について以下に示します。
※三菱電機製シーケンサ Qシリーズを前提として進めます。
シーケンサの構成品の種類
2-1.ベース
ベースは電源ユニットやCPUユニット、入出力ユニットや特殊機能ユニットを装着して使用します。PLCを選定する場合、必ず必要になるものです。ユニット装着数によってベースの選定を考えなければなりません。ユニット1つを1スロットと呼びますが、3~12スロットまで大きさが違うベースがあります。
基本ベースと増設ベースがあるのですが、基本ベースはCPUを装着するもので、増設ベースにはCPUは不要です。1ベースで最大12スロットまで装着可能なのですが、12スロットを超える場合には基本ベースと増設ベースを接続して拡張する必要があります。
また、DINレールに取付出来るようにするためのDINアダプタというものがあります。別売りになっているために購入を忘れることがあるのですが、DINレールに取付する場合は忘れずに購入しましょう。
2-2.電源ユニット
各ユニットをベースに装着し、電源ユニットからベースを通して各ユニットへ電源を供給します。電源ユニットもベース同様に必ず必要になります。
入力電源の電圧と出力容量によって選定します。ほとんどは AC100V~240V 入力だと思いますが DC24V 入力の場合もありますので、選定は注意しましょう。
2-3.CPUユニット
CPUユニットはいろんな種類があります。
・シーケンサCPU
・モーションCPU
・プロセスCPU(計装CPU)
・二重化CPU
・C言語CPU
ここでは主にリレーシーケンスで使用するシーケンサCPUについて説明します。
CPUはユニバーサルモデルCPUユニットがあり、さらにユニバーサル高速CPUも発売されています。通常のユニバーサルモデルとユニバーサル高速タイプでは、高速と名の付く通り、内部でのプログラム実行速度が高速タイプの方が早いです。
また、インターフェースも通常のユニバーサルモデルはUSBとRS-232Cポート、高速タイプはUSBとEthernetポートになっています。近年ではEthernetでの機器接続が主流となっていること、通常のユニバーサルモデルも高速タイプも価格があまり変わらないことを考慮すると、迷ったら高速タイプを購入した方がよいでしょう。
ただし、極端に容量の少ないプログラムであれば、通常のユニバーサルモデルの低容量のものを購入した方がコストが安く抑えられます。
2-4.入出力ユニット
入出力ユニットは以下の種類があります。
入力
・DC入力(プラスコモン、マイナスコモン)
・AC入力(100V、200V)
出力
・トランジスタ出力(シンク、ソース、高速、独立、TTL CMOS)
・トライアック出力
・リレー出力(16点コモン、独立接点)
入出力
・入出力混合(DC24V入力、トランジスタ出力)
入力の場合、信号の電圧やコモン種類で、出力は流れる電流値や電圧で選定しましょう。
2-5.アナログユニット
アナログユニットはDC0~10V、DC1~5V、DC4~20mAなどのアナログ信号を入力するユニットです。ユニットではアナログ値をデジタル値に変換してプログラム内で使用できるようにします。入力だけでなく、アナログ出力のユニットもあります。
アナログ信号は計装制御ではよく使う信号で、ON/OFF制御ではなく温度調節計やその他の加減したい制御において使用されます。高価ですので、選定時は電圧や電流などの規格を間違って壊してしまわないように気を付けましょう。
※アナログ入力ユニットを選定したときのラダープログラムの作成については『PLCのアナログ入力ユニット選定時のラダープログラム作成手順(Q64AD)』をご覧ください。
2-6.位置決めユニット
位置決めユニットはサーボアンプやモータードライバなどと接続してサーボモーターやステッピングモーターなどを制御するときに使います。様々なパラメータとプログラム内の命令で決まった位置へ軸制御することが出来ます。
生産ラインなどにおいては多用されますが高価ですので、軸数が多い場合などは位置決めユニットではなくモーションCPUでの制御がよいでしょう。1軸~4軸、またはモーションCPUを使うまではいかないけど、常に計算して停止位置を決めなければならない軸制御などに向いています。
2-7.ネットワークユニット
遠くの場所にあるシーケンサや工場内のすべてのシーケンサと接続したりして情報を共有したり、指令を送ったりする目的でネットワークを接続するために使用します。
ネットワークも様々な種類がありますが、一昔前は光ケーブルで接続する MELSECNET がプラント工場などでは主流でした。近年では CC-Link IE や Ethernet といったイーサネットケーブルでの接続が主流となってきています。
2-8.電力計測ユニット
電力を監視したい場合には、昔は電力計を設置して監視、または電力計でアナログ出力がついているものを選んで、メーターでも遠隔でも監視できるようにするものが主流でした。
近年ではシーケンサに信号を取り込んで遠隔はもちろん、タッチパネルに表示して監視することが主流となってきています。シーケンサで電力監視する場合に必要となるユニットです。
2-9.オプション品
変換コネクタやスプリングクランプタイプのコネクタなどがあります。シーケンサの設置スペースを小さくしたいけど、コネクタ配線はしたくない場合などには変換端子台と接続ケーブルを使用してねじ端子台での接続するなど、オプション品で対応することが可能です。
3.PLCを選定するときの手順は?
どんな種類のユニットがあるかわかったところで、どうやって選定すればよいでしょうか。まずはシーケンサへの電源入力をおさえておきましょう。
AC100V または AC200V のいずれかである場合が多いと思いますが、DC24Vしか用意できない場合もあります。電源入力の電圧によって電源ユニットを選定しましょう。
次に入出力の信号はどのようなものが何点あるのか把握しましょう。
・DC24V、AC100V、AC200Vの入力信号がそれぞれ何点あるか?
・DC0~10V、DC4~20mAなどのアナログ信号が入力、出力でそれぞれ何点あるか?
・その他の特殊ユニットは制御に必要か?
どのようなものが何点あるか分かれば、そこから必要なユニットを決めていきます。ユニットが全部でいくつあるかが分かれば、ベースが決められます。基本ベース、増設ベースをどこに設置するかを決めて、配置に応じて接続ケーブルの長さを決めれば選定は終了です。
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4.PLC選定を簡単にするために
今回は三菱電機製のシーケンサの選定を前提に進めました。
三菱電機製のシーケンサ選定であれば、三菱電機のサイト内に機種選定ツールというものがあります。WEB上で使用するベース、CPU、電源ユニット、各種ユニットを選んでポチポチとクリックすれば、あっという間に選定が終わります。
以下のリンク先ページの『同意する』をクリックすれば、別ウィンドウで機種選定ツールが出てきます。この中でポチポチっと簡単に短時間で機種選定を済ませてしまいましょう。
リンク先はQシリーズの機種選定システムのページですが、他のシリーズのシーケンサやタッチパネルの選定ツールもあります。よく選定している人でも、意外と知らない方も多いので紹介しました。
活用して間違いないように簡単に選定を終わらせてしまいましょう。
5.さいごに
他メーカーのPLCも同様に選定していけばそんなに時間をかけずに選定することが出来ると思います。
どんなユニットがあるかを把握しておくこと、どんな信号があるかを把握することが一番大切です。短時間で選定できるように、よく使うメーカーの選定基準を作っておくなどしておくのもよいと思います。
効率よく選定していきましょう。
関連記事:制御盤製作時の部品選定(端子台)