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このページでは制御盤の筐体における材質による接地の有無や、接地線の接続場所について説明しています。
制御盤の設計をする際、接地について検討する必要があります。
接地といっても、どんな材質のときに筐体のどこに接続すればいいかあなたは知っていますか?
- 接地線の接続場所は筐体のどこにすればいいか
- どんな材質だと接地しなければならないか
このようなことでお困りのあなたに、制御盤での接地線の接続場所と材質による接地の必要有無について説明します。
目次(概要)
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1.筐体の材質で接地が必要なものは?
制御盤の筐体は主に鉄製のものが主流となっていますね。
鉄製以外にもアルミフレームや樹脂製(塩ビなど)の筐体も存在します。
接地が必要となる材質はどんな基準で判断すればいいのか説明します。
接地の目的は人の感電防止のため
接地は人の感電防止のために施工します。
漏電が発生したとき、導電性のある部分には電気が流れてしまいます。
電気が流れている部分に人が触れたら…大変危険ですよね。
そこで、漏電時に電気が流れるであろう箇所に接地線を接続しておくことで、電気を地面に流してしまいます。
地面に流れれば、地面より抵抗値の高い人には流れずに地面に電気が流れ続けます。
接地は人の感電防止のために施工するものです。
接地が必要な材質は?
接地の目的は人の感電防止ですが、人が感電しないようにするにはどんな材質に接地が必要となるでしょうか?
電気は導電性のある物質に流れます。
制御盤であれば鉄製のもの、その他の導電性のある金属で出来ているもの全般です。
制御盤の筐体に使われる金属はほとんどが導電性ですので、金属製の筐体は全て接地が必須となります。
樹脂製(塩ビなど)の筐体で製作するものであれば、筐体は導電性が無いので接地は不要です。
ただし、筐体に付属する金属部分に漏電する恐れがあるならば、金属部分は全て接地する必要があるので注意が必要となります。
材質による接地の必要有無
- 金属製:接地必須
- 金属製塗装品:塗装を剥離(削るなど)して接続する
- 金属製被膜処理品:被膜を剥離(削るなど)して接続する
- 樹脂製:基本は接地不要
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2.制御盤のどこに接地線を接続する?
ここからは金属製の筐体を前提に話を進めていきます。
金属製のものは接地必須と前述しました。
では実際にどこに接続すればいいのでしょうか?
制御盤の接地線の接続箇所について説明します。
接地線接続の基本ルールは把握しておこう
金属製の筐体は、基本的に全ての部分が接地されている状態にする必要があります。
複数のパーツの組み合わせで制御盤は出来ていますよね?
そのすべてのパーツに接地線を接続する必要があるのです。
原則として、接地線の接続は以下の点に注意して接続します。
接地線接続時の基本ルール
- 接地線はひとつの端子に1本までとする
- 端子台で接地線を渡り接続することは禁止
- 塗装、被膜形成されている部分は剥離してから接続
上記の注意点を守って接地線を接続すれば、大地間の抵抗値が低い状態を保てます。
よくやりがちなのはひとつの端子に線を2本入れること、端子台で接地線を渡り接続することです。
接地線はひとつの端子に1本までが原則になります。
2本入れると接触抵抗が発生するので接地している効果が弱まってしまいます。
また、端子台を挟んでしまうと、端子台の抵抗値も入ってしまうので原則は禁止です。
人の安全を守るためにも原則を守って接地線を接続しましょう。
制御盤筐体の接地線の接続箇所
接地線接続の基本ルールを理解したところで、実際に制御盤筐体へ接続する箇所について押さえておきましょう。
筐体の接地線を接続する箇所
- 筐体本体下部の端(本体の接地用)
- 筐体中板下部の端(中板の接地用)
- 扉(扉の接地用、両開きであれば両方に接地)
- 筐体本体下部の正面または端(インバータ、制御機器の接地用)
言葉だけでは分かりにくいので、図を交えながら接地箇所を説明します。
筐体本体下部の端(本体の接地用)
まずは筐体本体を接地する必要があります。
接続する箇所としては『本体下部の右端、または左端』です。
以下の図の赤枠で囲んだ部分に接続します。
図の位置に接地端子を溶接して、アースバー(銅バー)を取付します。
そのアースバーに接地線を接続すれば、筐体本体は接地されます。
接地箇所が少ない時にはアースバーは不要です。
この場所の理由としては以下の通りです。
本体接地の接続場所と理由
- 外部接続の引き込み口として開口部を底面に用意することが多い
- 底面の真ん中に開口がある場合は、左右どちらかに接地端子
- 側面の下部に開口がある場合は、開口のない側に接地端子
配線引き込みの開口部は『底面の真ん中』『左側面の下部』『右側面の下部』のいずれかが多いと感じます。
天井からの配線引き込みでなければ下側から配線を引き込みますので、図の場所は他に支障なく接続できる箇所となります。
筐体本体の接地の際に、私がよく使用する接地端子とアースバーの組合せをご紹介します。
参考にしてみてください。
接地端子
- メーカー:篠原電機
- 型式:EC-8-2(穴ピッチ20mm)
アースバー
- メーカー:篠原電機
- 型式:EBA-20-12WE(長め)
- 型式:EBA-20-6SE(短め)
筐体中板(中板の接地用)
筐体本体のつぎは中板の接地について。
中板についても接地端子を用意して接続します。
青枠が中板、赤枠が接地端子(接続箇所)です。
中板の下部に用意することで本体と接続する際に接地線が短く処理できます。
接地は抵抗値が重要ですので、接続する接地線は短い方が銅線の抵抗値も少なく済みます。
なるべく本体の接地接続の近くに中板の接地端子がくるようにしましょう。
接地端子やアースバーは前述した本体の時と同じものを推奨します。
中板を接続するだけであれば、アースバーは不要です。
参考までに、私の設計だと中板には接地端子のみでアースバーは使用していません。
扉(扉の接地用、両開きであれば両方に接地)
筐体本体、中板のつぎは扉の接地についてです。
扉と筐体本体とはヒンジでつながっています。
無塗装であればヒンジで本体と扉の導通は確保できることも多いです。
しかし、塗装品や被膜形成されている場合は抵抗値が高い状態でつながっていますので、接地線を接続して接地された状態とする必要があります。
そこで、図の位置に丸ボスを溶接して接地線を接続してあげましょう。
扉の内側、ヒンジ側に溶接された丸ボスに接地線を接続すれば接地された状態となります。
M5かM6の丸ボスで溶接場所を指定し、丸ボス自体は業者にお任せしています。
筐体本体下部の正面または端(インバータ、制御機器の接地用)
本体、扉の接地は前述した通りですが、制御機器などの接地はどこにすればよいでしょうか?
こちらも図で示してみました。
青枠は盤内にある中板、赤枠の位置に接地用のアースバーを用意して接続します。
アースバーの設置は絶縁支持台(サポーター)で中板と導通が出ない状態にしてアースバーを取り付けしましょう。
導通が出ないように取り付ける意味は、次の項目で説明しています。
下部にあった方が接地線の取り回しが容易になるメリットとして挙げられます。
また、接地線を引き込んだあとに接続箇所が近いこともメリットのひとつです。
以下に私が使用する絶縁支持台とアースバーの組み合わせを記載しておきます。
絶縁支持台(サポーター)
- メーカー:篠原電機
- 型式:SB-20(M6、ボルト+ナット)
アースバー
- メーカー:篠原電機
- 型式:EBA-20-10SE
接地はノイズも考慮して接続する
筐体や制御機器全てを接続して、接地完了!
というわけにはいきません。
全てを同じところへ接続するということは、何か起きたときにも全てに影響するということ。
人や機器を守るための接地も接続次第では守るべきものを危険にさらしてしまいます。
特に気をつけたいのはノイズ対策です。
接地線からノイズ信号が入ってきてしまい、動作に影響を及ぼすこともあります。
正しくノイズ対策をした接地線の接続をしたいところですね。
ノイズを考慮した接地線の接続については以下の記事をご覧ください。
制御盤製作におけるノイズを考慮した接地(アース)の考え方
3.さいごに
接地線は人の感電防止を主な目的として接続しています。
しかし、ただ接続すればいいというものでもありません。
接続する上では原則を守って接続する必要があります。
正しい接地の目的を理解して、基準に従って設計すれば大丈夫です。
人の安全を守るためにも、正しく接地されるように設計を進めましょうね。