制御盤製作におけるノイズを考慮した接地(アース)の考え方

制御盤製作時のノイズを考慮した接地(アース)の考え方

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このページでは、制御盤の製作における接地(アース)の考え方と接地分離の方法について紹介します。

制御盤では動力回路、制御回路、計装回路(アナログ等の微弱信号)を扱う回路が混ざっています。
接地(アース)は、漏電が発生した際に地面に電気を逃がして機器や人の安全確保のために行います。

人の安全はもちろんですが、設備としての安全動作も大事ですよね。
ノイズ信号は設備に誤作動を起こしたりなど、危険動作をする可能性も。

このページで接地の考え方を理解して接地分離の方法を覚えれば、安全対策もノイズ対策もばっちり。
あなたの設計する”安全を確保”しながら”ノイズ対策”もできている制御盤で得意先に貢献しましょう。

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1.制御盤での接地の種類

制御盤での接地の種類

 

制御盤においては、A~D種の接地を必要とします。
特高、高圧回路においてはA種またはB種、低圧回路においてはC種またはD種の設置が必要です。

ここでは主に低圧回路(AC600V以下、DC750V以下)の制御盤について考えていきます。

低圧回路においてはC種またはD種の設置が必要になります。
それぞれの条件、接地方法について以下に記載します。

◎C種接地

接地条件

300Vを超える低圧用の機器の筐体(外箱)、鉄台の接地

接地方法

接地抵抗10Ω以下、接地線は引張強さ0.39kN以上の金属線、または直径1.6mm以上の軟銅線

 

◎D種接地

 

接地条件

300V以下の低圧用の機器の筐体(外箱)、鉄台の接地

接地方法

接地抵抗100Ω以下、接地線は引張強さ0.39kN以上の金属線、または直径1.6mm以上の軟銅線

 

実例として、最大電圧AC200Vの回路がある制御盤ではD種接地のみ、最大電圧AC400Vの動力回路とAC100Vの制御回路のある制御盤ではC種、D種の接地を必要とします。

 

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2.制御盤でのノイズの影響

制御盤でのノイズの影響

 

制御盤でのノイズの影響って、どんなものがあるのでしょうか。
ノイズの発生源、ノイズの影響を理解しておくことで対応も可能になります。

接地の目的、ノイズの影響、発生源について理解しておきましょう。

 

2-1.接地の目的は?

 

接地は、漏電した際に漏れた電気を地面に逃がすことで、人が感電しないように防止することが目的のひとつです。
他に、漏電による火災を防止すること、漏電を検知して保護装置が働いて機器を停止させる等の目的があります。

本来の接地目的としては上記の通りですが、制御という側面から見た場合、ただ接地すればよいわけではなくなってきます。

 

2-2.ノイズってなんだろう?

 

『ノイズ』という言葉を聞いたことがありますか?
正確には『電磁ノイズ』と言います。

ノイズはある発生源から放射され、他の機器へ影響をあたえます。
発生源としては、雷や静電気の放電現象によるもの、高周波を扱う機器やスイッチングによる発生もあります。

制御機器において、動力回路やインバータはモーターなどを駆動する目的で使用されます。
モーターやインバータは、いずれもノイズの発生源となり得ます。

制御盤内(インバータなど)とその接続先(モーターなど)にそれぞれ発生源があり、制御盤はノイズにさらされています。

ノイズの影響を受ける被害者としては、アナログ信号やパルス信号などの微弱信号が多いです。
微弱な電気信号を扱う場合、ノイズにより回路には不要な電流が誘導されることにより、動作に不具合を起こします。

動作の不具合だけならいいのですが、加わるエネルギーが大きい場合には機器を破壊してしまう恐れもあります。

このノイズ対策の一つの手段として、接地を工夫する必要があります。
接地した線からもノイズが入り込んでくる可能性があるからです。

 

2-3.ノイズの影響で正常に制御できなくなる

 

ノイズの影響で実際に制御できずに困ったことがあります。
具体的には制御機器の場所を把握するためのエンコーダ信号が正常に入力されない状態でした。

原因はノイズ、しかも接地によるものでした。
詳しくは以下のページにまとめましたのでご覧ください。

PLCの高速カウンタが誤作動して制御できない

 

ここまでで発生源と影響が分かりましたね。
実際のノイズ対策を考慮した接地について、この後の項で紹介します。

 

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3.制御盤での接地の考え方

制御盤での接地の考え方

 

制御盤の周りにはノイズの発生源があり、影響を受けてしまう場合もあります。
接地の方法についても工夫をして、余計なノイズ影響の被害を受けないようにしなければなりません。

制御盤製作時の接地の考え方として、以下のように考えます。

 

3-1.動力回路と制御回路の接地は分ける

 

動力回路(主回路)はモーターなどの負荷からノイズの影響を受ける可能性があります。
動力回路と制御回路の接地を同じにした場合、制御回路の接地線にノイズ影響による電気誘導が発生する可能性があります。

機器に影響があった場合、機器が正常に動作しない、機器が故障するなどのノイズ影響による被害が発生する可能性が高まります。

動力回路(主回路)からの影響を受けないように(受けにくく)するために、動力回路(主回路)と制御回路の接地線は分けて接地しましょう。
AC400Vの動力回路であればC種接地、制御回路ではD種接地 と接地種類も変わります。

『AC200Vの動力回路だから全部C種接地で同じところから』という接地は後々のノイズ影響による被害を受けないためにも避けたほうがよいです。

 

3-2.筐体接地と動力回路の接地は同じにする

 

そもそもの接地目的は『感電防止』『漏電火災防止』『漏電検知での機器保護』です。

『感電防止』の観点から、筐体(外箱)は接地しなければ危険です。
本体、扉、中板など全て接地をする必要があります。

筐体接地と動力回路の接地は同じにしましょう。
電圧が低くてもC種接地と同様の抵抗値で接地した方が安全の為にもよいでしょう。

電気は抵抗値の低い方へ流れるため、電気を逃がしやすくなります。

 

3-3.筐体(中板)から制御機器は浮かす

 

3-1項で動力回路と制御回路の接地は分けるとしました。
3-2項で筐体接地と動力回路の接地を同じにするとしました。

筐体接地=動力回路接地 となるので、制御機器を筐体にそのまま取付するとノイズの影響を受ける可能性があります。
制御機器は中板から浮かせて取付し、ノイズ対策をする必要があります。

制御機器の中には、機器の筐体(外箱)が金属で出来ていて、接地端子と導通のあるものがあります。
そのまま中板に設置すると、筐体設置と機器の接地が同じになってしまいます。

ねじ1本だけで、全ての接地が導通となっていまいます。
これでは接地端子を分けても、導通がある制御機器を介して全て同じ接地となってしまいます。

同じ接地状態になってしまうのを回避するために、絶縁支持台というものを使用します。
制御機器を絶縁支持台で筐体(中板)から分離することで、機器の筐体と制御盤との接地を分離することが出来ます。

機器を設置して配線が終わったら、接地がそれぞれ導通がないかを必ず確認しておきましょう。

 

3-4.動力回路とインバータ回路の接地は分離する

 

3-3項までで接地は以下のようになっています。

接地1:筐体 = 動力回路
接地2:制御回路

 

動力回路ではインバータを使用することがあります。
速度を可変したいモーターではインバータ制御で速度を可変することで電力を抑えて運転させることができます。

このインバータですが、ノイズの発生源となっていることが多々あります。

インバータの構造として、内部でスイッチングにより周波数を作り出しています。
内部でスイッチングをしている機器においては、大なり小なりノイズを発生している可能性が高いです。

インバータの制御方式にもよりますが、接続先にはモーターがあり、インバータやモーターのノイズが電路にのってしまう場合もあります。

出来るだけノイズの影響を最小限に留めて、不具合が起きた際に原因を追究しやすくするためにも、インバータの接地は分離しておいたほうがよいです。
同じモーターを制御している回路ではありますが、動力回路とインバータ回路は接地を分離しておきましょう。

インバータはヒートシンクがついているので、そのまま中板に接地するとねじを通して筐体と導通が出てしまいます。
筐体から浮かせるために、大きい絶縁支持台を使用して筐体や中板と分離しましょう。

 

ここまでで接地は以下の種類に分離されました。

接地1:筐体 = 動力回路(インバータ回路は除く)
接地2:制御回路
接地3:インバータ回路

 

3-5.制御回路とアナログ回路は接地を分離する

 

先ほどまでで接地は3種類に分離しました。
制御回路は動力回路と分離したので、もう大丈夫!

と言いたいところですが、もう一つ分離した方がよい回路があります。

3-5項のタイトルにもある通り、アナログ回路は制御回路と接地を分離しましょう。

制御回路と言っても、ノイズの発生源となるものはあります。
スイッチングしている直流電源などは多少のノイズを発生している可能性があります。

制御回路はアナログ回路よりは大きい電圧や電流を扱っていることが多いので、外からのエネルギーが小さければ被害を受けずに済むこともあります。
ですが、アナログ回路は微弱な信号を扱っているので、ノイズによる被害を受けやすいです。

できるだけノイズから遠ざける工夫をした方が、後々でノイズ被害で悩む可能性を最小限に出来ます。

ノイズ影響をしっかりと分離するためにも、制御回路とアナログ回路の接地を分離しましょう。
当然ですが前述した動力回路、インバータ回路、筐体とも分離するので絶縁支持台を使用して分離していきます。

 

結果、接地は以下のように分離されました。

接地1:筐体 = 動力回路(インバータ回路は除く)
接地2:制御回路(アナログ回路は除く)
接地3:インバータ回路
接地4:アナログ回路

 

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4.まとめ

まとめ

 

 

  • 接地目的は「感電防止」「漏電火災防止」「機器保護」
  • ノイズ対策は接地も分離することで影響を最小限にする
  • 接地は4種類に分離する

接地1:筐体 = 動力回路(インバータ回路は除く)
接地2:制御回路(アナログ回路は除く)
接地3:インバータ回路
接地4:アナログ回路

 

  • 機器の設置も工夫して、接地が確実に分離されるようにする
  • 動力回路以外の機器は絶縁支持台を使用して、筐体から浮かせて設置する
  • 機器の設置、配線が全て終わったら、接地が分離されているか確認する

 

まとめてみると、とても短くなりましたね。

どう分離するかを忘れたとしても内容をしっかりと理解しておけば自ずと答えは見つかります。

まずは『接地は4つに分離する』だけ覚えておいて、時間がある時に内容を理解して設計に活かしていきましょう。

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