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あなたはラダープログラムを基本から教わりましたか?
基本の回路となる自己保持回路、正しい組み方で作成できていますか?
実はラダープログラム作成では基本となる自己保持回路の組み方は重要です。
なぜなら、組み方次第では修正対応で苦労せずにかんたんに修正対応が出来るからです。
このページではラダープログラムの基本となる自己保持回路の作成方法についてご紹介しています。
読み終えれば、あなたも自己保持回路をマスターしてラダープログラム初心者を脱出できます。
初心者も今さら聞けないあなたも、プログラム技術を上げて評価も客先からの信頼も得られますよ。
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1.自己保持回路ってなに?
シーケンス制御において、自己保持回路は基本の制御方法です。
制御盤製作においてはこの回路は頻繁に使用されます。
リレーシーケンスでは、ONスイッチ、OFFスイッチ、リレーがあれば組める回路です。
ONスイッチが閉となることでリレーがONし、ONスイッチを離してもリレーの接点で電路を確保します。
リレーの接点で電路を保持している最中にOFFスイッチが開となることで、リレーへの電路が解かれてリレー接点による電路の保持も同時に解かれます。
言葉で書かれてもなんのことだかさっぱり??ですよね?
次項で図を使って説明したいと思います。
2.自己保持回路の基本
さて、自己保持回路はどのようなものか図1で説明していきます。
図1
図1はモーターを駆動させるための自己保持回路となっています。
このモーターは物を巻き上げるために使われているとした場合、以下の接点があるものとします。
・モーター起動のための起動スイッチ
・インターロック条件としての停止スイッチ
・起動条件としてモーター周囲の立ち入り確認スイッチ
・保持解除条件の巻き上げ完了スイッチ
まず、それぞれの信号としての役割です。
X0(入力):起動スイッチ
起動スイッチ[X0]がONすることで、内部リレー[M0]をONさせようとします。
X1(入力):起動条件
起動スイッチ[X0]がONした際に有効にする条件となります。
X2(入力):インターロック条件
内部リレー[M0]のONを有効にする条件となります。
X3(入力):保持解除条件
起動スイッチ[X0]がOFFの時に内部リレー[M0]の保持を解除する条件となります。
M0(内部デバイス):内部リレー
この内部リレー[M0]がONすることで、モーターへの出力[Y100]がONしてモーターが動きます。
Y100(出力):モーター出力
この出力信号がONすることでモーターが駆動します。
この図1では、内部リレー[M0]がONすることで、モーターへの出力[Y100]がONしてモーターが動き出す回路となっています。
動作の順序としては以下の通りとなります。
- 起動スイッチ[X0]をON、内部リレー[M0]がONしてモーターへの出力[Y100]がONすることでモーターが動き出す
- モーターが物を巻き上げる
- モーターが物を巻き上げて巻き上げ完了スイッチである保持解除条件[X3]がONする
- 内部リレー[M0]の自己保持が解除されてモーターへの出力[Y100]がOFFしてモーターが停止する
モーターを途中で停止させた場合は以下の通りとなります。
- 起動スイッチ[X0]をON、内部リレー[M0]がONしてモーターへの出力[Y100]がONすることでモーターが動き出す
- モーターが物を巻き上げる
- 停止スイッチをONするとインターロック条件[X2]がONする
- 内部リレー[M0]の自己保持が解除されてモーターへの出力[Y100]がOFFしてモーターが停止する
この2つの動作順序が自己保持回路の基本動作となります。
内部リレー[M0]はONすることで自分でONを保持するように働き、インターロック条件[X2]、保持解除条件[X3]がONすることで保持が解除される仕組みです。
インターロック条件[X2]がONしている場合、起動スイッチ[X0]をONしても内部リレー[M0]はONしません。
絶対に対象出力がONしないように回路を構成する必要があります。
対して、保持解除条件[X3]がONしていても、起動スイッチ[X0]がONした場合は内部リレー[M0]は起動スイッチがONしている間だけONします。
保持解除条件は起動スイッチがOFFの状態で、且つ内部リレー[M0]が保持している時に有効となる条件となります。
自己保持回路の動作はラダープログラムの作成では基本となりますので、しっかりと理解しておくといいですね。
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3.自己保持回路の作成
自己保持回路の仕組み、動作についてはここまでで分かったと思います。
次は、ラダープログラムにおいて自己保持回路を作成するときに、汎用性を持たせた回路として作成した場合について説明します。
図2
図2は2項で説明した基本的な自己保持回路に汎用性を持たせて作成した回路になります。
図1の[X0]~[X3]の各条件を内部リレー[M100]~[M103]で一旦処理して自己保持回路へ状態を渡すように作成しています。
図2のように作成することで、次のようなメリット、デメリットがあります。
汎用性を持たせた自己保持回路のメリット
まずメリットとして、図1では各条件が一つの信号ですが、それぞれの役割の信号が複合条件(複数の信号のON/OFFの組み合わせ)となる場合があります。
図2のように作成しておくことで、[M100]~[M103]のON条件を変更すれば、自己保持回路を変更することなく条件の変更のみで使用できるので回路がごちゃごちゃとせずに分かりやすく作成、変更できます。
現場などでの変更作業において、楽に変更作業が行えるということは大変なメリットになります。
汎用性を持たせた自己保持回路のデメリット
次にデメリットですが、一旦全ての信号を内部リレーで処理するために、内部リレーを多く使用することになります。
内部リレーも限りあるものですので、使用数を考慮しながら作成しなければならないため、少し手間となる部分が出てきます。
このデメリットの解消方法として、ローカルリレーを使用することでグローバルリレーを使用せずに作成できます。
全体として内部リレーの数が不足するようなことを解消できます。
私の場合には常にM7000~7999をローカルデバイスとして使用することで、複数のプログラムで使いまわしてプログラムを利用出来るようにすることで、このデメリットを解消しています。
このように汎用性を持たせて作成する方法もありますので、参考にしてください。
4.さいごに
自己保持回路はPLCラダープログラムの基本中の基本となりますので、必ず自分で理解しておきましょう。
この自己保持回路をいくつも作成しなければならない場合の対処法として、アドレス割付を行ったあとに条件のみを複数作成し、自己保持回路は一つのみ作成します。
各デバイスはインデックス(Z)を使用してFOR~NEXT命令で自己保持回路を何回も繰り返すように作成することで、いくつもの自己保持回路を作成しなくてもよいように作成すれば、回路作成の時間は大幅に短縮できます。
汎用的に作成することで、ループ命令などを使用して作成時間を削減しましょう。
関連記事としてこちらも参考にしてみてください。
PLCのアナログ入力ユニット選定時のラダープログラム作成手順(Q64AD)