制御盤製作時の内部配置の検討手順

スポンサーリンク


今回は、制御盤製作のときに行う盤内部の部品配置の検討手順について紹介します。

制御盤を製作するときには、部品をどのように配置するのか検討する必要があります。検討した結果は内部配置図として図面を作成しますが、その前におおよその配置が自分の中で決まっていなければ内部配置図は作成できません。

このページで部品配置の基本と配置する場所について覚えてしまえば、自分で部品配置の検討ができるようになります。部品配置の検討が出来れば、あなたは制御盤以外のラックのユニットなど、あらゆる箱物の設計が出来るので仕事の幅も広がりますね。

内部配置の検討手順を覚えて、社会に貢献できるエンジニアを目指しましょう。

スポンサーリンク

1.まずはどんな部品を使用するかを把握する

理解する

 

制御盤は、制御するための部品を組み合わせて使用します。その部品はどのようなものを使うのかを把握しておく必要があります。

電気的容量(消費電力)の大きいものは熱を発生させます。また、ON/OFFの頻度の多いものも同様に熱を発生させます。

使用方法、発熱量や運用方法も含め、把握しておきましょう。

それぞれの部品についての知識はある程度必要となります。各部品について、以下の項目は把握しておきましょう。

・電気容量(*V、*A、*W、AC/DCなど)
・設置方法(取付方法)
・熱を考慮した配置上の注意点(隣や上の隙間、間隔など)
・部品への配線接続方向と方法(コネクタ、端子台、上から、横からなど)

上に挙げた項目は配置検討する上で知っておく必要がある項目になります。

制御盤を製作する際に様々なメーカーのいろんな部品を使用していると把握するのも大変になります。毎回、都度調べていては時間ばかりかかってしまいます。

そこで、多くのメーカーは標準品を決めて設計しています。その理由は、全ての部品の上記項目を把握するのは大変ですので、その部品についての扱い方を把握し、習熟度を高めるためという目的と、品質を保つことにつながるからです。

部品選定のページには私の選定例を載せています。私も慣れた部品であれば頭に知識が入っているので、都度確認せずにどう配置すればよいかがわかります。自分なりの選定基準、標準品を決めておくことがポイントとなります。

ぜひ参考にしてみてください。

カテゴリー:部品選定

 

目次へ戻る

 

2.部品配置の基本

ブレーカー

 

部品配置の基本として、以下の3つのポイントがあります。

・配線の引き込み口はどこか
・盤内配線の引き回しの基本
・熱の考慮
・操作性、視認性の考慮

 

2.1 配線の引き込み口はどこか

まずは配線の引き込みです。どんな制御盤も外部から電源をもらう(受電する)必要があります。

その電源線、どこからやってきますか?

一般的には下から引き込むことが多いのですが、上から引き込む場合もあります。そして、電源線と同じルートで外部信号の線も引き込むことが多いです。

ということは、外部接続用の端子台は配線の引き込み口付近に設置した方が外部からの電線を接続するのに効率がよいです。ですから、端子台は配線引き込み口に合わせて配置します。

 

2.2 盤内配線の引き回しの基本

外部からの電源線を端子台で接続したあと、電源の線はどの機器へ接続するでしょうか。

最初は必ず遮断機(ブレーカ)に接続します。その遮断機(ブレーカ)の配置場所ですが、それには配線の基本を知っておく必要があります。

配線の基本は、制御盤の上から下へ流れるように引き回していきます。すると、まずは遮断機(ブレーカ)が上に配置されるのは分かりますね。

次に機器を制御する為には電磁開閉器(接触器)が必要です。遮断機(ブレーカ)の下側には電磁開閉器(接触器)が配置されます。

電磁接触器の先は、対象機器(負荷)です。ですので、電磁開閉器(接触器)のあとは端子台へ配線します。

ここまでが主回路配線の接続順序です。

 

次に制御回路の引き回しです。

制御回路は電磁開閉器や遮断機の信号、外部からの入出力信号を使って機器を制御します。配線するときの効率、電線の長さ等を考慮すると、上にある遮断機、その下の電磁開閉器、端子台が一番下にあると仮定すれば、盤内の上から下まで接続対象があります。すると、真ん中にあれば上にも下にも遠からずの位置になります。

 

ここで考慮すべきは、ノイズ対策です。

主回路には交流で大きな電流が流れるものもあります。交流の大きな電流が流れる電線が近くにあると、誘導電圧が発生することがあります。本来ならば電圧が0Vのはずが、誘導電圧で10V程度を検知することもあります。誘導電圧を信号と勘違いして制御してしまうと、本来動くべきタイミングではない時に機器が動くなどの不具合が起きてしまいます。

上から下に配線が流れて行くということは、上にも下にも逃げ場がありません。そこで、今度は横の位置について検討していく必要があります。全ての主回路を避けることは難しいですが、ある程度は左右で主回路と制御回路で分けるように配置することは可能です。主回路は左側に集める、制御回路は右側に集めるといった検討をして配置場所を決めていく必要があります。

ここまで説明した配線の引き回しの基本を理解した上で部品の配置場所を検討していく必要があります。

 

2.3 熱の考慮

次に考慮すべきは排熱です。

熱を多く発生するものは、電気的容量が大きいものになります。遮断機はあまり熱を発生することはありません。

電磁開閉器は頻度が多くなると内部でアークという火花が発生して熱を発生します。電磁開閉器の代わりにインバータを使用するときも交流→直流→交流と内部で変換しているのでエネルギーロスが大きく、ロスしたエネルギーは熱となって発生します。

熱は上に逃げていきます。上の方に熱に弱い弱電部品を配置しておくと、熱が溜まった際に故障の原因になってしまいます。

熱に強いメカニカル製品(遮断機、電磁開閉器など)は上の方にあっても問題ないです。コントローラやPLCなどの制御機器は上側に配置すると熱によって故障するかもしれない確率が高まります。熱にさらされると故障するかもしれない部品を上側に配置することはリスクとなります。

上側に配置するものは熱の発生源となるもの、熱にさらされても故障しにくいものを配置する方が制御盤内の機器の故障を抑えることができます。

 

熱が多く発生する場合は熱を外へ逃がすことも考慮しなければなりません。上側にファンを設置すれば排熱することが出来ます。

ファンを使って排熱するためには、排気の他に吸気も考えなければなりません。熱を逃がすための排気ですので、吸気はなるべく冷たい空気を入れてあげたいです。熱は上に上がっていくので、下側に吸気口を設けることで、周りと比較して冷たい空気を入れることができ、盤内の冷却効率がよいです。

吸気する際にはほこり等の侵入を防ぐためにフィルターの設置も必須となりますので検討しておきましょう。

 

2.4 操作性、視認性の考慮

操作するスイッチ、押しボタンや表示灯は人が操作し、人が目で見て確認するものです。考慮する点としては、操作性と視認性です。

 

操作性としては、人が届かないような高い位置に設置すると押すのが大変など不満が出てきます。低すぎると押しづらく、上から見るために押し間違いなども発生しやすくなります。

操作しやすくするためには、目線より少し低めの位置が望ましいです。操作する際に立ったまま操作するのか、座って操作するのか によって目線の位置は変わります。横に障害物があると、左や右に避けながら操作することもあるので注意が必要です。

確認しやすく、押しやすく の位置に配置することがベターでしょう。

また、操作機器の配置の注意点として、機器ごとにわかりやすく配置する必要があります。運転ボタンと停止ボタンが離れていると、間違って押したりするなどの操作する人のミスを誘発してしまいます。対象機器ごとに縦に運転、停止の順で並べたり、対象機器ごとに囲みをつけて視認しやすくしたりなどの工夫をして操作ミスを誘発しないように配慮が必要になります。

ユーザーの意見を確認して使いやすい配置となるように検討しましょう。

 

視認性についてもほとんどは操作性の考慮と同様になります。
ですが、一つだけ違うのは、高い場所にあっても目線が届いて確認ができる場所であれば大丈夫な点です。

表示灯の場合、操作するときのように手を伸ばす必要がありません。ですので、少し高い位置に配置しても視認できるようであれば問題ありません。

制御盤にはよく「受電」の表示灯を設けることがあります。この「受電」ランプは盤の高い位置に単独で設置されていることが多いです。実際、私の設計時も高い位置に配置しています。

高い位置でも遮るものがなく、少し高い位置で単独で設置されていれば確認は容易にできます。このような点も考慮して配置検討をしましょう。

 

目次へ戻る

 

スポンサーリンク

3.部品配置の場所

 

ここまでを理解した上で、各部品はどこに配置すればよいか、基本の場所について決めておきましょう。

・端子台
配線引き込み口の近く

・遮断機
盤内上側に並べて配置

・電磁開閉器
盤内の遮断機下側に並べて配置、出来るだけブレーカと同じ並びになるようにする

・インバータ
かなりの熱を発生するので、出来る範囲で上の方に設置
インバータの上側には熱に強いメカニカル製品のみとする
複数台のインバータ設置の場合は横と上の隙間を考慮し、排気(排熱)も多くする

・制御機器(PLC、コントローラなど)
上下位置は盤内中ほど、下に熱源となる機器がないこと、直流で制御の場合は交流回路より離して設置

・排気ファン
盤の天井部分に上側に排気するように設置
または側面上部に外側へ排気するように設置
吹き出し方向に注意

・操作機器(スイッチなど)
使用するときの目線より少し低い位置
対象機器ごとに並べるように配置

・表示灯類
使用するときの目線よりも少し高い位置まで
単独設置の時には見る人の背丈よりも高い位置でもOK

・その他部品
熱の発生について、設置方法について把握しておく
熱の発生するものは上側に配置 または 上に配置する機器は熱の影響を受けにくいものを配置

 

目次へ戻る

 

4.さいごに

 

内部配置図を作成するまえに、おおよそどの機器をどの位置に配置するかを想定しておく必要があります。内部配置図では実際に機器を並べて入るかどうかの検討と、熱などを考慮した上で配置を変更する検討になりますので、その前にある程度の配置はおおまかに決めておく必要があります。

検討手順と配置上の注意点に気を付けて配置検討しましょう。