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電気制御基礎|トランス(変圧器)は巻数比で出力電圧が変わる

電気制御基礎|トランス(変圧器)は巻数比で出力電圧が変わる

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このページでは、トランス(変圧器)の仕組みと巻数比によって出力電圧が変わるということについて具体例を交えてご紹介しています。

制御盤を製作するとき、トランス(変圧器)は使う機会の多い部品です。
受電電圧が400Vや200Vならば、100Vに降圧して安全な電圧にしてから制御用電源として使います。

現地調整などのとき、一次側の電圧が予定していたよりも大きいことがあります。
二次側の出力電圧は大丈夫か判断しないで接続すると、二次側に接続されている機器を壊してしまいます。

でも、トランスの仕組みを理解していればすぐに安全かどうかは判断できます。

まりおん

電圧が発生する原理とトランスの仕組みさえ分かれば大丈夫!

このページでトランスの原理と巻数比による出力電圧の変化について理解して、間違った接続をしないようにしましょう。

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1.トランス(変圧器)の仕組み

トランス(変圧器)の仕組み

 

まずは電磁誘導をおさらい

 

義務教育をしっかりと受けていれば、中学生のときに習ったはずである電磁誘導。
忘れてしまった方も、ここでおさらいしておきましょう。
電磁誘導を理解していれば、トランス(変圧器)の仕組みを理解するのは簡単です。

言葉だけでは分かりにくいので、図を作成してみました。
以下の図で説明します。

 

電磁誘導の仕組み

 

理科の授業でコイル(巻き線)の中に磁石を入れて動かすと、コイルにつながった電線には電圧が発生する実験をやったのを覚えていますか?
ほとんどの中学校では理科の実験でやっているはずです。

図のようにコイルの中で磁石を上下することで、巻き線につながっている電線には電圧が発生します。
このとき、上下する磁石によってコイルへの影響は変化することで交流の電圧を発生させています。

磁界によって電気が発生することを『電磁誘導』と言います。

 

電磁誘導で二次側に電圧を発生させる

 

電磁誘導が分かったところで、次はトランスの仕組です。
トランスは電磁誘導を使って二次側に電圧を発生させています。
こちらも図を使って説明していきましょう。

 

トランスの電圧発生の仕組み

 

今度は一次側のコイルに交流電源を接続して電気を流します。
すると、コイルの中の鉄心には磁界が発生します。

交流の電気は1秒間のうちに何回も極性が変わります。
赤と青の矢印のように、電気の流れが1秒間のうちに何回も切り替わります。
当然ながら鉄心の磁界も極性が変わります。

二次側のコイルには同じ鉄心があります。
N極、S極が何回も変わる磁石が入っているのと同じ状態です。

まりおん

コイルの中で磁石を上下に動かしている状態と同じですね

この状態であれば電磁誘導によって二次側にも電圧が発生します。
このようにしてトランス内では電磁誘導によって電圧を発生させています。

巻数の違いによって磁界の影響を受ける大きさも変わることで、発生する電圧も変わってきます。
電磁誘導と巻数によって、トランスは電気を変圧しています。

ここまでがトランスの仕組みです。

 

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2.巻数比によって出力電圧が変わる

巻数比によって出力電圧が変わる

 

一次側と二次側の接続について

 

トランスには一次側と二次側の接続箇所があります。
トランスの接続箇所には電圧表記をされているものがほとんど。
電気制御で使われる多くのトランスは降圧(電圧を下げる)目的での使用です。

この一次側と二次側の接続に関して、ときどき分からないという人がいます。
それは、一次側の電圧が表記されている電圧と違うときです。
そのまま接続しても二次側に影響がないのか分からないと。

前述した電磁誘導の仕組みとは別に、トランスの出力電圧についても理解しておきましょう。

 

一次側の電圧が表記と違う場合に困る

 

トランスには以下のような表記があります。
例として、220Vを100Vにして使うこととします。

例)
一次側:220・200V
二次側:110・100V

220Vを100Vにしたいとき、一次側の220Vに接続して二次側の100Vに制御回路を接続すれば100Vの電圧が使えます。
一次側が220Vか200V、二次側が110Vか100Vであれば表記通りに使えますよね。

ですが、一次側の電圧が230Vだったときにはどうでしょうか?
二次側に何Vの電圧が発生するのか、予想より大きな電圧が発生したら接続している機器を壊して(燃やして)しまうかも…

想定している電圧と違ったとき、二次側に出力される電圧が分かれば大丈夫なのか判断できますよね?
これにはトランスの出力電圧はどのように決まるのかを理解しておく必要があります。

 

一次側と二次側の電圧表記=比と捉えよう

 

トランスの二次側の出力電圧はどうやって考えればいいのか?
答えは簡単、一次側と二次側の表記された電圧の比で考えればいいだけです。

一次側の電圧が230Vのとき、220Vの表記のところへ接続したとします。
このとき、二次側の100Vのところに出力される電圧は次のように求められます。

220:100 = 11:5
係数は 100 ÷ 220 = 0.454...

230:X   = 11:5
係数は上の計算式と同じく 0.454...
230 × 0.454 = 104.5

X = 104.5

まりおん

つまり、104.5Vが出力されますね

一次側の220Vの箇所に230Vの電圧を入力したとき、100Vの箇所に出力される電圧は104.5Vとなります。
100V入力の機器のほとんどは ±10% 程度の許容範囲を設けています。
104.5Vであれば、機器を壊すことなく使用できる範囲と判断できますね。

出力電圧は比率で求められることは分かりました。
実際には、コイルに巻かれている巻数の比率によって電圧が変わります。
よって、表記されている電圧の比というのは、そのままコイルの巻数比となります。

比率を計算すればトランスの出力電圧を求められます。
これであなたも出力電圧が分からなくて困ることはなくなりますね。

 

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3.さいごに

さいごに(ばっちり)

 

簡単そうで意外と知らない人が多いトランスの仕組み。
電磁誘導と巻数比を理解しておけば、トランスの出力電圧についてはバッチリですね。

ひとつの部品についてしっかり調べてみると、自分が理解していた内容と違うこともあります。
簡単そうなものほど、しっかりと原理を理解しておくことは大事です。

トランスだけではなく、他の機器の仕組みについても理解を深めて設計に活かしましょうね。