非常停止ボタン(スイッチ)の扱い方を間違えないための注意ポイント

非常停止ボタン(スイッチ)の扱い方を間違えないための注意ポイント

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このページでは非常停止ボタン(スイッチ)を扱うときの注意ポイントについて紹介しています。

機器を動かすための制御盤には、非常停止回路が必要となることがあります。
人が介在する機器においては必須の部品と回路です。

いざというときの非常停止ですが、設計次第では非常停止として役に立たず困ることも。
これでは信用を失ってしまいますね。

使う目的や扱い方を知っていれば、間違った扱いをすることはありません。
必ず知っておいてほしいポイントについて紹介します。

命を守る非常停止ボタン、ポイントを押さえて設計に活かしていきましょう。

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1.非常停止ボタンはどんなときに使う?

非常停止ボタンはどんなときに使う?

 

制御設計では、目的を理解した上で設計すると良い設計ができます。
非常停止ボタンの扱い方を知るには、どんなときに使うのかを理解しておくことが近道です。

 

ケガや人命に関わる危険の恐れがあるとき

装置や機械などの設備は、小さいものから大きいものまであります。
人がつきっきりで扱うものもあれば、全自動で動く設備もあります。

小さい設備は人が介在するものが多く、手や腕、足などを切断してしまうなどの危険性が潜んでいます。
大きい設備であれば命に関わる事故になることも。
危険だと思ったときに、すぐに押せる位置に非常停止ボタンがあれば、ケガをしたり命を落とすことはないですよね。

設備の大小に関係なく、いざというときに人を守るために非常停止ボタンは使われます。

 

装置や機械を壊してしまいそうなとき

装置や機械などの設備に不具合が生じてしまったとき、すぐに設備を停止させたいですよね。
設備の一部が破損しているのを発見した時など、そのまま使用すると設備全体を壊してしまうかもしれません。
そんな時にも非常停止ボタンで設備を停止させることがあります。

いざというときに設備を守るためにも、非常停止ボタンは使われます。

 

まとめ

人の安全を守るため
設備の健全性を守るため

上記2点はとても大事なことであり、人と設備を守るための非常停止ボタンだということを理解した上で設計をしましょう。

 

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2.非常停止ボタンは常時閉(ノーマルクローズ)で使う

非常停止ボタンは常時閉(ノーマルクローズ)で使う

 

ここからは具体的な扱い方について説明していきます。
非常停止ボタンは常時閉(ノーマルクローズ:N.C.)で使用するのが基本。
常時閉で使用する理由について説明します。

 

常時閉(ノーマルクローズ:N.C.)とは?

常時閉(ノーマルクローズ:N.C.)とは、動作していない状態で接点が閉じている状態のことを指します。
非常停止ボタンの常時閉を回路図で書くならば以下の回路記号で表します。

非常停止ボタン_図記号

常時閉はb接点とも呼ばれています。
複数の非常停止ボタンがあるときは、以下の画像のように直列に接続する使い方が一般的です。

非常停止ボタン_直列接続

非常停止ボタンは常時閉となるb接点で接続するものと覚えておくといいですね。

 

なぜ常時閉(b接点)で使うのか?

非常停止ボタンは常時閉で使うことが一般的と説明しました。
なぜ常時閉(b接点)で使うのかというと、そこには目的があります。
断線時に非常停止ボタンが押された状態と同じく設備が停止するように設計する必要性があるからです。

前述した通り、非常停止ボタンは人と設備を守るためにあります。
断線した状態では非常停止ボタンは使えません。
非常停止ボタンが使えない状態で危険が差し迫った時、非常停止ボタンを押しても設備が停止しないのであれば目的を果たせない状態です。

非常停止ボタンが使えない状態であれば、設備は動くべきではありません。
よって、断線時に非常停止ボタンが押された状態と同じように非常停止状態となった方がより安全です。
設備を危険な状態にしない=安全になるように回路を設計する必要があるわけです。

よって、非常停止ボタンは常時閉(b接点)で接続するのが望ましいのです。

 

まとめ

・常時閉
=ノーマルクローズ(N.C.)
=b接点
=動作していない状態で接点が閉じている状態
・非常停止ボタンはb接点で使う
→断線時に設備を動作させない
・複数の非常停止ボタンはb接点を直列接続
→どの非常停止ボタンが押されても停止する

常時閉と非常停止ボタンの接続については設備が安全方向となるように設計しましょう。

 

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3.非常停止ボタンを選定する際の注意点

非常停止ボタンを選定する際の注意点

 

非常停止ボタンの使い方は前述した通りです。
実は、非常停止ボタンにはいくつかタイプがあります。
非常停止ボタンを選定する際に注意するポイントがあるので紹介します。

 

非常停止ボタンはいくつかタイプがある

非常停止ボタンと言っても、いくつかのタイプがあります。
ここでは一般的によく使われている2種類について紹介します。

 

・プッシュロック/ターンリセット

押せば(プッシュ)ON状態を保持、解除はボタンを回すことで(ターン)押されたボタンが戻ってくるタイプです。
非常停止ボタンと言えば、一般的にはこのタイプを指していることが多いです。
感覚的には、非常停止の8~9割はこのタイプです。

・プッシュプル

押せば(プッシュ)ON状態を保持するのはターンリセットと同様ですが、解除はボタンを引き上げることで(プル)押されたボタンを戻すタイプです。
プッシュロック/ターンリセットほどではありませんが、見かける機会はあります。
感覚としては、非常停止の1割あるかないか程度の頻度です。

 

解除するときにキーを差し込むものなど、紹介した以外にも種類はあります。
非常停止ボタンのタイプについては使用先の好みもあるので、確認してから選定を進めましょう。

 

カバーを設置して誤操作を防止

非常停止ボタンはいざという時に押せなければ目的を果たせません。
しかし、普段は誤って押してほしくはないボタンでもあります。
誤って押せば設備は停止してしまうため、通常の稼働に対して影響が出てしまいます。

そこで、誤操作防止のためにカバーを設置することがあります。
カバーがなければ誤操作の機会が増えてしまい、不用意に設備を止めてしまうことも。
専用カバーが設定されていることがほとんどですので、誤操作を防止するために設置します。

カバーはリングガードという名称で販売されているものもあります。
対応している非常停止ボタンには誤操作防止カバーの説明がカタログなどに記載されていますので、専用のものを選定しましょう。

 

まとめ

・非常停止ボタンの種類は主に2種類
→プッシュロック/ターンリセット
→プッシュプル
・誤操作防止としてカバー(リングガード)を設置

 

非常停止ボタンはSEMI規格(半導体製造装置の規格) に対応している種類もあります。
案件の仕様を満足するように選定には気をつけてくださいね。

 

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4.実際に使うときはどこに使えばいい?

実際に使うときはどこに使えばいい?

 

ここまでで使い方と選定は分かったけど、回路にどうやって使えばいいのか?
具体的な使用例を挙げて説明していきます。

 

設備全体を停止する

非常停止ボタンなので、設備がすぐに停止しなければ目的を果たせません。
設備全体を停止させるのですから、全ての電路を断つ必要があります。
どうするかというと、以下の画像のように主幹の始めを遮断するような回路に設計しておく必要があります。

非常停止_回路使用例

 

上の画像の回路では、左側の赤い点線で囲んだ部分が主回路(単線結線図)
右側の青い点線で囲んだ部分が制御回路です。

主回路では主幹に電磁接触器(MC1)を設置しています。
MC1のON条件として『非常停止(EMS1)が押されていない=b接点』で回路を構成します。
すると、非常停止が押されればMC1がOFFして全ての電源が遮断され、設備が停止することになります。

非常停止ボタンで設備全体を停止させる回路設計とすることで、人と設備を守ることが出来ます。

 

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5.さいごに

さいごに

 

非常停止ボタンは人と設備を守るためのものです。
しかし、設計を誤れば人も設備も守ることはできません。
用途、回路をよく理解して、必ず停止させるように設計することが大事になります。

仕様通り動かすことも大事ですが、それ以上に停止させることの方が重要です。
あなたの設計する回路で人や設備を守っていきましょう。